4月 放生・水陸祭

2010.4.18(日)


 暖かい春の日差しのなか、善男善女の皆様方が放生水陸祭ご参加のため、お集まり下さいました。
 バスは定刻より少々遅れて、9時半を少し過ぎて出発しました。

 この日の参加の先生方は、住職、林副住職、鶴田先生、日高先生、川本先生でした。
 また、韓国の大徳寺からも先生方がおみえになり、放生にご参加下さいました。

 バスと乗用車で別々に出発し、現地で合流した、参加総数は総勢50人でした。


***バス内での先生の法話より(抜粋)***


放生といいますと、皆様ご存じのように、私たちはずっと自然との関わりを持って生きています。
その自然の中から私たちは一生取って食べるだけで、少しも自然に返すことはしていません。
ということは、私たちは大変 罪を重ねていってる、ということになっております。
それで、その万分の一、千万分の一でもいいから返す、という気持ちをもってこの放生ということをします。

鯛を流して私たちの積もり積もった罪を少しでも返そうということが、仏教の放生という法要の趣旨であります。
このおかげで私たちの罪、ご先祖様の罪が少しでも減らすことが出来るかなぁ、と思います。



最近、テレビでも言っていますが地球環境、生態問題が悪くなっています。
たくさん人間が増えて、いろんな事々をしてあらゆるものを破壊してしまいました。
鳥の種類も減ってしまい、森の面積もずいぶん減ってしまいました。
魚も減ってしまいました。本当に今、海の魚が高いでしょう?
高い理由があるんです。
魚がないから高いんです。肉よりも高くなってきているんです。

私たちは放生で鯛を流しますが、この鯛は養殖しているんです。
食べられるために養殖された鯛を、食卓に上る前にわざわざ買って海に流しています。
その魚はまた漁師が取るかもしれない。
また、せっかく海に放しても死ぬかもしれない。
そのかわり私たちが今日流す、魚の数が、約300匹。
300匹を流したら、3匹だけでも生き残って300の卵を産むかもしれない。
だから、絶対損になることはないと思います。
300匹がひよっとしたら3万匹になる可能性もあるかもしれないのです。

今、世界に64億人が生活していますが、そのうち40億人が1日200円未満の生活をしています。
ほんとに貧しい生活です。
今日の鯛1匹が1000円、これだけあれば5日間生活できるということです。
そのくらいの豪華な放生をしている、ということであります。
この鯛が1日200円の生活をしている人のところへ流れて行って食卓に上っても良いんじゃないかなと思います。

また世界中で8億人が栄養失調で死んでいっています。
そのくらいに大変な時代になっています。
それだけですか?

今、毎日3万6千人の子供達が、食べ物が無くて餓死しています。そんな時代なんです。
皆さんも生活が苦しい、仕事がない、収入がない、苦しい・・・、不平不満がいっぱい積もり積もっていると思いますが、
本当は、皆さんはこのバスに乗っているだけで、選択された、ほんとに幸せな幸せな人なんです。

この放生によって、魚を増やすということに繋がって寄与できたらなぁと思います。
それが仏教の根本の教えであります、慈悲ということなんですね。
また、私たちの欲の心を流すことになると思います。

放生によって自然にお詫びをして、自然に感謝して、恩返しをして、ということは仏教信者が出来る大きな功徳であります。
この功徳についてはある先生がおっしゃいました、100万編のお経よりも放生を1回した方がよろしいと。

放生は、回向や深い意味を持つ仏教の教えに従った、自然との共生という意味を持つ行事です。

今日はこの放生という法要に参加して、私たちの過去・現在・未来を精一杯生きられるきっかけに成れればな、と思っております。

***法話 終わり***



 昨年から放生は、泉南郡田尻港沖から,大阪府泉南郡岬町の深日(ふけ)港に場所を移し、行われています。

 バスは11時過ぎに、深日港に到着し、岸壁で法要の準備がされ、続いて法要が始まりました。

お供えの品やろうそくを供えます
法要が始まりました

 法要のためのお経が終わると、鯛の放流の前にお弁当や、キムチやチャプチェ、チヂミなどが配られました。
 良いお天気の海岸でみんなで揃って食べるお弁当は、ひと味違います。
 食事が一段落ついて、光明真言が唱えられるなか、鯛の放流が始まりました。

鯛にお札を貼ってもらいます
海に鯛を放します
黄色い紙がお札です
次々に鯛を放します
鶴田先生も参加できなかった信者様の鯛を流します
合掌

 ひとりひとりがそれぞれ鯛にお札を貼ってもらって、海に放流しました。
 初めての参加の方もスムーズに鯛を放流されました。流された鯛の総数は、314匹でした。

 鯛を海に流すと、雑魚を撒いているのだと思うのでしょうか、カモメたちが集まってきました。
 先生の法話のように、小さな漁船がやってきて網を打とうとして先生に止められる場面もありました。

 放流が終わり、最後に、もう一度般若心経を唱え、皆で合掌しました。

放流後の法要です
みんなで“キムチ!”


 無事に行事が終了し、自家用車とバスに分かれて帰路につきました。

 途中日本橋付近でバスを降りられる方々とお別れし、鶴橋には、5時頃に到着しました。

 長時間に渡る法要、皆様お疲れ様でした。


合掌


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